パートを楽しく便利に活用する方法
お店の気持ちは、はっきりとした言葉や態度に表現されていなければ、お客には伝わらない。
伝わらなければ、その感謝の気持ちはないも同然なのである。
ところで、この「ありがとうございました」という感謝の気持ちは、お客がお金を払った後で伝えるもの、と決まっているわけではない。
もしそうだとしたら、食券を買って注文してもらうシステムのお店はどうするのか。
もちろん、食券を買ってくれた時点で売買関係は成立しているのだから、その時点で「ありがとうございます」といってもいいわけだ。
ただ習慣として、この言葉はそぐわない。
やはり、お帰りになるときにかける言葉だろう。
それなら、別の表現を考えればいい。
前項で、お客を迎える言葉である「いらっしゃいませ」にも「ありがとうございます」の気持ちが込められていなければならないといったが、飲食店では、お客に係わるすべての言動に、この感謝の気持ちが表現されていなければならない。
言葉としては「いらっしゃいませ」とか「何にいたしましょうか」とかいろいろでも、気持ちはただひとつ「来ていただいてありがとうございます」なのだ。
大事なのは、この気持ちをどうわかりやすく伝えるかだが、自店だけのサービススタイルを考えるのも一手である。
たとえば、「いらっしゃいませ」というときにはっきりとした笑顔になる。
ラーメンを出すときには「お待たせいたしました」といった大きく頭を下げる。
「ありがとうございました」の後に「またのお越しをお待ちしています」とつけ加える。
たったこれだけのことでも、お客はハツとして、何となくうれしくなるものだ。
接客サービスといってもラーメン店の場合、むずかしいサービス技術を要求されるわけではない。
飲食店のなかでも、もっとも単純かつ簡単なサービスである。
それなのにどうして、お店によってこうもサービスのレベルが違うのだろうか。
もちろん、ここでいうレベルとは、技術的な問題ではない。
感じのいいお店と感じの悪いお店の落差が激しい、という意味だ。
答えは簡単で、要するにスタッフの質の問題なのだ。
ただし、誤解のないように断っておくが、スタッフ個々人の質がどうこうということではない。
問題なのは、スタッフの教育.訓練に責任のある経営者のほうである。
ちなみに、一般に飲食店はスタッフの定着率が低いともいわれるが、その要因は仕事自体にあるのではない。
仕事の教え方が悪いか、ほとんど教育.訓練らしいことをしていないためである。
ラーメン店の仕事がいくら簡単だといっても、工場のベルトコンベアーでやる流れ作業ではない。
ラーメンができたらボンと出して、お客が食べ終えたらお金を受け取り、お釣りを渡す。
それだけの作業なら、教育.訓練などいらないだろう。
ちょっとやるところを見せて、すぐにやらせてもなんとかなる。
お店の仕事は「作業」ではない。
お客に対するサービスなのである。
ここを誤解してはならない。
たとえば、カウンターだけのお店の場合、実際の動作はいま例に挙げた「作業」のようなものだ。
実に単純.簡単である。
お客に気分よく食べていただくのは簡単なことではない。
ましてや、満足して帰っていただくのは、もっとむずかしい。
なぜなら、お客というのは、お金を支払うときにもっともシビアになるからだ。
支払いまでは、何か気に入らないことがあっても「まあ、これくらいのことだから」と我慢する。
自分で気分を害したくないという心理が働くためだ。
帰るときは違う。
食べた以上は、お金は払うだろうが、内心「こんなお店には二度と来るものか」などと思っていたりするのである。
お客を甘く見ていると、手痛いシッペ返しを食らうということだ。
スタッフに教育が必要なのは、サービス業という仕事の意味を正確に教え、理解させるためである。
お客への感謝の気持ちを、本心から持てるようにするのだ。
一方、訓練には言葉づかいと動作の2つがあるが、ラーメン店での基本動作は別にむずかしいものではない。
簡単な動作だからなおさら、感謝の「心」がこもっていないと、たんなる「作業」になってしまうのだ。
人それぞれ性格も違えば常識も違う。
仕事である以上は、だれもが同じサービスを提供できなければならない。
きちんと仕事ができてはじめて、働く喜びも味わえる。
ヤル気も出てくる。
スタッフの問題はすべて、教育にかかっているのである。
小さなラーメン店のよさのひとつに、和気あいあいとした雰囲気がある。
お客どうしがまるで友達のように挨拶したり、明るく笑いちょっとした世間話をしたりする。
そういうお店に入ると、新参者のこちらまでが、なんとなくほんわかした気分になるものだ。
どうしてこういう雰囲気になれるのか。
店主自身がそういう雰囲気を持っているからである。
たまたまお客に恵まれているだけじゃないか、と思う人もいるだろうが、そんなことはない。
たしかに、こういうお店には次々と人のいいお客が集まるものだ。
たんなる偶然ではない。
店主の持っている親しみのある雰囲気が、そういうお客を引き寄せるのである。
店主がお客との触れ合いを大切にしているからこそ、お客も足繁く通うのである。
こうして固定客がどんどん増えていく。
ここで思い出してほしいのが、ラーメン店の原点は屋台だということだ。
昔の屋台には、駅前など場所を決めて営業するタイプと、屋台を引き流して歩くタイプとがあったが、いずれにしても、ほとんどが固定客商売だった。
オヤジと1人ひとりのお客との間には、それぞれの人間関係があったものだ。
大した話をするわけでもない。
それでも、何となくお互いに親しみを感じている。
下町の人情のような関係とでもいおうか。
ただし、お客と親しくなるといっても、一部のお客とだけの馴れ合いはマイナスでしかない。
特定のお客だけを特別扱いすることは、ほかのお客を認めないことだからである。
そうではなく、すべてのお客と親しくなれるようにしようということだ。
飲食店のサービスの大原則は、すべてのお客に平等であることだ。
断言してもいいが、たいていのお客は、お店の主人と親しくなりたいと思っている。
なぜなら、自分を大事にしてくれるお店を探しているからである。
口には出さなくても、心の触れ合いを求めている。
お店の人から話しかけられたいと思っているのだ。
だから、気軽に話しかけてみればいい。
話をいやがるお客はそっとしておけばいい。
そういう温かなサービス精神は必ずお客に伝わる。
お客を呼び込むものなのだ。
ある。
屋台が成り立ったのは、そういう人間関係に支えられていたからだが、屋台という営業形態自体に、そんな温かみがあったことも事実だろう。
いまの飲食店のなかで、屋台にもっとも近いお店のひとつが、ラーメン店なのだ。
昔は同じ屋台だったすし店や天ぷら店は、とっくに高級店になってしまっているが、ラーメン店だけは違う。
いまも変わらず庶民の味方だ。
サイフの心配をしないで、ひょいとのれんをくぐることができる。
それなら、そういうメリットを生かさない手はないだろう。
固定客づくりのいちばんの近道はお客と親しくなることだが、ラーメン店は、もっともやりやすい業種なので最近、ラーメン店でティッシュの箱を用意しているお店が目につく。
オープンなどの販促用のものではない。
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